
取扱業務
債権回収としての計算書類開示
請求相手の所在調査
債権回収の成功率を上げるには、相手を動かす必要があります。
その方法として、計算書類開示請求の意外な使い方がありますので、紹介しておきます。
債権回収としての計算書類閲覧請求という方法を紹介します。
企業相手に、お金を返してもらいたい、などの権利を持っている場合に使える可能性がある方法です。
相手を動かすための本質的な内容も含まれています。
この話は中小企業を相手にしたときの債権回収方法の一つです。
債権回収に関する書籍でも紹介されている方法ですが、ジン法律事務所弁護士法人でも以前に使用していた方法でもあります。
計算書類の閲覧請求とは
計算書類の閲覧請求とは、会社法で認められている制度です。
会社法442条3項です。
会社に対して債権を持っている債権者という立場の人は会社に対して計算書類の閲覧や、一部の謄写請求ができます。
情報収集としての計算書類閲覧請求
これがなぜ債権回収につながるのか言うと、まず債権回収をするときに相手の情報は重要だからです。
計算書類によっても、一定の情報取得につながります。
計算書類とは?
会社法での計算書類は、貸借対照表、損益計算書、それに付随する個別注記表です。
会計帳簿、総勘定元帳などは対象外です。
帳簿まで確認できれば、売上の内容や預金口座等がわかるので、債権回収には役立つのですが、そこまでの情報はもらえません。
残念ながら会計帳簿と計算書類は別モノという扱いです。
会計帳簿の閲覧ができる人は?
会計帳簿については、法律では、少数株主権を持つ株主であれば確認できます。
100分の3が基準になってきます。
このような株主であれば見ることはできますが、債権回収のために株主になることは現実的ではないでしょう。
協力してくれる株主を見つけるのも難しそうです。
そのため、会計帳簿を確認するのは、債権回収としては難しいです。
附属明細書が開示されるケースも
損益計算書の情報だけ見てどうするのかという意見もありますが、決算書類の開示を求めた場合、附属明細書もあわせて開示されるケースもあります。
決算書とセットになっていることが多く、そのまま開示してくれるパターンです。
基本的に、「計算書類」の中にこの附属明細書は含まれていないのですが、勘違いして開示してくれることがあります。
任意に開示されたものであれば、閲覧しても問題ありませんね。
この附属明細書には、売掛金、買掛金などの取引先や、取引銀行などの記載がされています。
差し押さえをするにも使える情報になります。
心理的にプレッシャーになる
計算書類開示請求は、情報収集として使える可能性もありますが、むしろ、相手にプレッシャーを与える効果のほうが強いと考えます。
多くの中小企業経営者は、債権者に計算書類の数字を見られたら気持ち悪いと感じるでしょう。
ここがポイントです。
ジン法律事務所弁護士法人でも民事執行法の財産開示制度がまだない時代に、そこそこの企業に対し預金口座の差し押さえをしたものの残高が少なく、全額回収できなかった事案で、この計算書類閲覧請求をやってみたら、相手方が非常に嫌がって優先的に払ってきたケースがあります。
計算書類閲覧請求は、あまりやる人がいないので、相手としては、気持ち悪かったり、対処がめんどくさいという気持ちになり、優先的に払ってくれる確率が上がります。
債権回収の考え方
基本的に債権を回収するとき、相手からみて、債権者が多数いることが多いです。
払えないから払ってこないというわけです。
他の債権者はライバルです。
他の債権者に払わないのに、こちらに払ってもらうためには、優先度を上げてもらうしかありません。
その方法を考えるのです。
その一つの方法として、計算書類の閲覧請求は、相手に対し、こいつは放置しておくとめんどくさいから先に処理しなければならない、という気持ちを抱かせます。
もちろん法律違反はダメです。
しかし、法律的に認められた制度で債権者として動くことは問題ありません。
そのなかで、相手にとって、優先度を上げる効果があるものであれば、積極的に活用すべきといえるでしょう。
債権回収にお困りの方は選択肢の一つとして検討してみてください。
動画でも解説しています。
このような債権回収のご依頼をご希望の方は、早めにご相談ください。