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FAQ(よくある質問)

 

Q.相続不動産の国庫帰属の運用は?

相続不動産の管理負担に悩む人々を救済する「国庫帰属制度」が着実な成果を上げています。

2024年11月時点で全国から3万件を超える相談が寄せられ、すでに1,000件以上が国庫帰属を実現。

注目すべきは、20万円超の負担金を支払ってでも土地を手放すケースが300件以上あり、土地所有の重荷からの解放を求める切実なニーズが浮き彫りになっています。

この記事は、

  • 相続した不動産の処分方法を探す相続人
  • 地方の不動産を相続し、遠方での管理に悩む人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2025.2.14

 

不動産を手放したい

収入も換価価値もないにもかかわらず、固定資産税や管理費用だけがかかる不動産を相続した人の救済制度として国庫帰属制度があります。

・老朽化した空き家
・相続関係が複雑化した所有者不明土地
・限界集落の耕作放棄地
・原野商法の被害地
・インフラの整っていない開発失敗地
・所在不明の山林

などが想定されています。これらの不動産を所有し続ける負担から解放されるための制度が、国庫帰属制度です。

 

 

相続不動産国庫帰属の相談・申請の現状

制度開始から約2年が経過した2024年11月末時点で、全国の法務局に寄せられた事前相談は37,897件に上ります。

このうち3,008件が正式な申請となり、1,089件がすでに承認され、国庫に帰属しています。

国の相談窓口は当初、対面と電話のみでしたが、2024年10月からはウェブ会議による相談も可能となり、利用者の利便性が大きく向上しました。

興味深いのは、相談が東京、名古屋、横浜などの大都市圏の法務局に集中している一方で、相談内容の多くが地方の土地に関するものだという点です。これは、都市部に暮らす人々が、故郷の土地の行く末に頭を悩ませている実態を浮き彫りにしています。

 

申請土地の実態

申請された土地の内訳を見ると、農地が37%、宅地が35%、山林が16%を占めており、様々な種類の土地で制度が活用されています。

特筆すべきは、20万円を超える負担金を支払って土地を手放すケースが322件もあり、そのうち67件は100万円を超える負担金を支払っているという事実です。これは、土地所有の負担がいかに重いものであるかを如実に物語っています。

 

相続不動産国庫帰属の流れ

制度利用の第一歩は法務局での事前相談です。

相談は居住地近くの法務局でも可能ですが、より正確な判断を得るためには、土地が所在する地域の管轄法務局に相談することが推奨されています。

申請にあたっては、承認申請書のほか、印鑑証明書、相続人であることを証明する書類、土地の位置図や現況写真など、複数の書類が必要となります。

法務局による審査は、書面審査、関係機関への照会、実地調査という3段階で行われます。この過程で、土地の有効活用の可能性も探られ、申請者の同意のもと、地方公共団体などの関係機関に情報が提供されます。その結果、国庫帰属ではなく、地域での活用の道が開かれるケースも出てきています。

国庫帰属の流れ

必要な書類と手数料

1. 承認申請書(申請者の情報、土地の情報などを記載)
2. 印鑑証明書
3. 相続人であることを証明する書類(相続登記がまだの場合)
4. 土地の位置と範囲を示す図面
5. 土地の現況写真
6. 境界点を示す写真
7. 登記承諾書

手数料は1筆につき14,000円で、収入印紙で納付します。一度納付した手数料は、申請を取り下げた場合や却下された場合でも返還されません。

 

審査結果と負担金

審査の結果、承認か却下、不承認かが決まります。承認される場合は負担金の納付が必要となります。

基本的な負担金は1筆20万円ですが、市街地の宅地や農地、森林などは面積に応じて金額が変わります。管理の必要があるためです。

負担金納付まで土地の管理責任は申請者にあります。

納付期限は通知を受けてから30日以内です。

これらの手続きにかかる標準的な処理期間は8か月とされていますが、様々な事情により延びる可能性もあります。

不承認や却下処分に不服がある場合は、行政不服審査や行政訴訟において不服申立てをすることができるとされます。

申請できる人

この制度を利用できるのは、相続や遺贈によって土地を取得した人に限られます。

売買などで取得した土地は対象外です。また、申請は本人か法定代理人が行う必要があり、委任状による代理申請はできません

ただし、申請書類の作成については、弁護士、司法書士、行政書士に依頼することができます。また、親族などが無償で手伝うことも可能です。

このように法律専門家への依頼も可能とはされているのですが、法務局での無料相談制度があることから、コストがかかる法律専門家への相談や依頼は少ないようです。
専門家が関与しても承認されるとは限らず、逆に承認される土地は専門家の関与がなくても承認される傾向があり、コストをかけるだけの価値が伝わりにくい分野となります。

図面の作成

制度運用において最も大きな課題となっているのが、添付書類の作成です。特に現地の図面です。

相続した土地を手放したいと考える人の多くは、何十年も現地を見ていない、高齢で遠方の土地まで行くことが難しいなどの状況に直面しています。

このため、申請書作成を代行できる専門家であっても、添付書類の作成には相当の労力を要します。

特に境界確認や標識設置については、土地家屋調査士の専門的な知見が不可欠となるケースが少なくありません。現地調査に先立ち、法務局備付の地図や航空写真、専門的な地図システムなども活用した入念な事前確認が必要となります。

 

今後の展望

当初は要件が厳しすぎて利用されないのではないかという懸念もありましたが、実際には着実に利用が進んでいます

さらに、この制度をきっかけに、予想外の好ましい効果も生まれています。申請の情報を受けた地方公共団体や隣接地主が土地を引き受けるなど、新たな土地活用の可能性が開かれているのです。

制度施行後5年での見直しが予定されています。

 


相続土地国庫帰属制度のFAQ

相続土地国庫帰属制度とはどのような制度ですか?

相続または遺贈によって取得した土地の所有権を国に帰属させることができる制度です。ただし、一定の要件を満たす必要があります。この制度は、所有者が管理困難な土地の増加に対応するために設けられました。

 

どのような土地が国庫帰属の対象となりますか?

すべての土地が対象となるわけではありません。例えば、建物がある土地や、担保権が設定されている土地、土壌汚染がある土地などは対象外となる場合があります。また、境界が不明確な土地なども対象とならない可能性があります。土地の種別としては、宅地や田畑、山林などが考えられますが、それぞれ要件が異なります。

 

国庫帰属の承認を受けるための手続きはどのように進めますか?

まず、法務局への事前相談を行い、申請書類の作成や添付書類の準備を行います。申請書には、土地の所在や範囲、隣接する土地との関係を示す図面や写真などを添付する必要があります。申請後、法務局による審査が行われ、必要に応じて現地調査も実施されます。承認された場合、負担金を納付することで国庫に帰属されます。

 

申請に必要な書類や添付書類は何ですか?

申請書に加えて、土地の登記簿謄本、地積測量図、公図などの書類が必要となります。また、土地の形状や位置関係を明らかにするための図面や写真、隣接地の所有者との関係を示す書類なども必要となる場合があります。特に、境界を明確にするための資料は重要です。

 

審査期間や費用はどのくらいかかりますか?

審査期間は、案件によって異なりますが、数ヶ月程度かかることが一般的です。審査手数料は14,000円です。承認された場合、土地の種類や面積に応じて負担金を納付する必要があります。負担金は、土地を管理するために必要な10年分の費用を考慮して算出されます。

 

承認されなかった場合、どうなりますか?

法務局から承認されなかった理由が通知されます。理由によっては、要件を満たすように補正することで再申請が可能です。ただし、行政不服審査法に基づいて不服申立てを行うこともできます。

 

相続土地国庫帰属制度を利用するメリットは何ですか?

不要な土地の管理負担から解放されることが最大のメリットです。固定資産税や管理費用を支払う必要がなくなり、精神的な負担も軽減されます。特に、遠方に居住している場合や、高齢で土地の管理が困難な場合には有効な選択肢となります。

 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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